大正ロマンあふれるちょっとレトロな世界のおもちゃを ぬくもりのある木版画で描いた宝箱のような絵本 世界の郷土玩具絵集 「寿々-Joujou-」山内神斧木版画集 大正7年に刊行された多色木版の稀覯本が 稀少なオリジナル版木で現代に甦る 「寿々」 |
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大正7年刊行の「寿々」原本書影 | |||||
=内容・体裁= 版元・制作 芸艸堂 体裁:和綴本全2冊(I・II)各巻26丁 手摺彩色木版画 ※「丁」は書籍の紙の枚数の単位です 判型:美濃紙判(280x195mm) 用紙:特製和紙楮白口 内容:扉絵I(里見とん)・扉絵II(小林古径) 別冊解説書付 畑野栄三「山内神斧と『寿々』の時代」 特製布帙入・外函納め 限定150部摺立(限定番号はありません) 税込価格61,600円 |
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インコ三種(土製胡粉彩色)セイロン セイロン島ケラニヤ村と詳しく書かれているから、この地方で求められた子供の玩具というより、土地の鳥をモデルにした土産物だろう。粘土を手びねりで形成し、素焼きでわずかに泥絵具で彩色したものだが、南の島のおおらかなあじわいのある玩具である。 |
風俗人形(木彫ペンキ塗彩色)ドイツ おそらく胴体の下部が刳りぬかれ、スプリングが仕込まれていて、動く人形として作られたものだろう。ドイツのヌールンベルクでは挽き物玩具が盛んに作られていたが、人形の下部が丸く挽かれている所などから見て、同地方あたりで作られていたものではないだろう。 |
馬(陶製) ベルギー 「陶製上薬によりて艶あり」とある。ベルギーの陶人形といった感じのする馬玩具。 |
建物(木片彩色)スイス 動物など人形(木彫胡粉彩色) ロシア 両方とも、いかにもお土産といった感じのする玩具である。単なる木片で作られたものだが、スイスの家の上に見える塔、ロシアの馬車に乗る人にどことなくローカル的な彩色がうかがわれる。いまも、両国のどこかの街角で見られそうな玩具である。 |
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絵馬(紙製泥絵具彩色)ビルマ 採集地をビルマとしているが、インドの誤りである。『これくしよん』九、拾号で「甲谷陀(カルカッタ)カリガート寺院の附近で、お僧さんが描いて売っている絵で、主に神話から題材をとっている。大津絵がその最初に仏画を描いていたように、参詣者はこれを求めて帰り、祭って一家の繁栄を祈ったものでしょう。」と記している。 |
指人形(土製胡粉彩色)台湾 「手に布を着せ人差し指を首に挿し入れ踊らせること前頁のものと同じ」と記されており、台湾の傀儡戯(クェルェシー)の人形の頭である。この頭に金糸銀糸のほどこされた華麗な衣装を着せ人形劇を演ずる。 |
五文人形三種 (木と布) フランス 「木躰に布切を貼りまとふ」とあり、木片を芯にして、手足をつけ、布切を着せた風俗人形である。五文人形としているが、一文人形の誤りではないだろうか、安直に手に入る人形という意味だろう。 |
竜(竹細工彩色) 中国 作り方を見ると日本の竹蛇と全く同じである。頭と尾を違えて竜とするか、蛇にするかである。鳥や竜のこのような竹細工の手法は、中国から渡ってきたものか、それとも偶然の一致だろうか。 |
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山内神斧(やまうち しんぷ、1886〜1966)
本書の玩具絵を描いた山内神斧(金三郎)は、明治19年大阪に生まれ、18歳で梶田半古に入門、前田青邨と二人で半古の画塾に寄宿し、先輩小林古径、後輩奥村土牛らとともに日本画を学ぶ画家であった。東京美術学校日本画科を卒業後、明治44年大阪に戻り、小美術店「吾八」を開き大津絵、泥絵、絵馬、ガラス絵、郷土玩具などを扱う。大正5年文展初入選。7年芸艸堂より「寿々I・II」発刊。扉絵に里見とん、小林古径なども協力、神斧の交遊の広さを物語る。その後12年頃まで「寿々」の名のもとに様々なスタイルで世界各国の人形や玩具の絵を描く。昭和12年東京西銀座に「吾八」(第2次)を開店。32年有楽町に「吾八」(第3次)を開店。41年永眠、享年81歳。 |
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